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いわて銀河鉄道



<いわて銀河鉄道>

「いわて銀河鉄道」というロマンチックな名前の鉄道がある。
東北新幹線全通に伴い、旧東北本線の盛岡と目時の82キロを結ぶことになった地元の生活を支える鉄道だ。

いわて銀河鉄道


いわて銀河鉄道は、旧東北本線を走る


「生活を支える」と言えば聞こえはいいが、儲かるならばJRが切り離すわけはなかったのだから、
あとは地元で何とかしてよ、という赤字覚悟の路線であることはいうまでもない。
もともと地方、人口減が進む地域だからいかに収益を確保するかは難しい。もとより知名度のある観光地が沿線にあるわけでもない。

沿線には田園風景が広がる


そこでこの鉄道は生活に身近な便利きっぷを次々に提案している。
「あんしん通院きっぷ」もそのひとつだ。
そもそも地方ローカル線は通勤者はマイカーが多いから通学の学生と通院のお年寄りが大のお得意さまである。
定期を持つ学生向けの新規需要開拓が難しいとなれば、あとはお年寄り需要に目をつけるしかない。
たとえば、盛岡と新幹線も停まる「いわて沼宮内」間は通常片道950円、往復1900円だが、「あんしん通院きっぷ」では1500円と400円安い。
さらに介護者と二人セット用を購入すれば2400円と、通常より1400円も安くなる。
年金暮らしのお年寄りなどにとってこれは魅力的だ。
さらに料金だけでなくアテンダントが乗車をサポートしたり、後方車両を優先席としたり、 またパークアンドライドのための無料駐車場を確保するなど、痒い所に手が届くようなサービスをしている。

車内にあった「あんしん通院きっぷ」の広告


地方ではローカル鉄道が生き残るために様々な取り組みがなされている。
考えてみればこの取り組みは近い将来超高齢社会ニッポンの先取りとも考えられる。
経済的弱者ともいえる人達だが、その人たちに徹底的に支持されることでコアな顧客にしようという狙いがある。
それはマスマーケットを狙う大企業から見れば「スキマ」かもしれない。
マスコミは「所詮はスキマ狙い」などと冷笑的に取り扱うことが多い。

しかし、「スキマ」というのは掘ってみれば実は意外に広く深いものであるかもしれないのだ。
そこに大きなマーケットがあることに気が付かない人が「スキマ」と思いこんでいるだけかもしれない。

今後日本では、大型店が大量集客で売り上げを伸ばすような旧来型のビジネスは成立しなくなる。
いかに零細な消費者を確実にお得意さんにしてゆくか、足元をしっかり見つめたビジネスが生き残るはずである。

頑張れ、いわて銀河鉄道。
未来に向けて今日もみちのく路を快走している。


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